オスミウムコーターでは、なるべく薄く導電性の良い膜を形成することが主な目的となりますが、FIB用の保護膜として、100nm程度の厚い成膜プログラムをご依頼いただきました。
そこで新たに「厚膜」を目的とした制御プログラムの開発を行うこととなりました。
単純に時間比例はしない
オスミウムコーターでは、四酸化オスミウム結晶からの昇華ガスを利用して成膜を行いますが、単純に長時間成膜動作を行っていても比例的に膜が厚くなるわけではございません。
四酸化オスミウム結晶からの昇華は緩慢で、15秒程度で昇華ガスの供給が追い付かなくなります。そのため、15秒程度を過ぎるとオスミウムガスの供給が少なくなり、そのまま放電していてもほとんど膜厚は稼げません。
課題を乗り越えた制御プログラム
方法としては複数回膜を重ねていく方法となりますが、手間と時間を要します。この問題を解消するため、成膜回数、昇華ガスのチャージ時間、成膜時間、これらを任意に設定し、安全を考慮したバルブの制御も行えるプログラムを考案いたしました。
開発は少々大変でしたが、満足のできるプログラムソフトとなりました。
この厚膜用制御プログラムはオプションとして装置に導入いただけます。
HPC-20について
真空デバイスのオスミウムコーター【HPC-20】は、シーケンサーとタッチパネル制御によるフルオートオスミウム成膜装置です。お客様の「声」を装置に反映できるのは、実際に開発を行ったスタッフが、納品据え付けを行い、アフターフォローまでをカバーしているからです。
制御プログラムは定期メンテナンスの際に最新版をインストールしてお戻しします。