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スパッタ装置、マグネトロンスパッタの原理

目次

スパッタとは

スパッタとは小さな微粒子が飛び散る様を表す単語です。
語源とされている「splutter」は飛び散るという擬音を表します。
おしゃべりの際に唾が飛ぶ飛沫や、アーク溶接の際に飛び散る火花をイメージしていただくと分かりやすいでしょう。

スパッタリングとは

真空業界におけるスパッタリングとは、ターゲット金属に陽イオンを衝突させ、そのターゲット金属の粒子を飛び散らせ、対象物に堆積させることを意味します。
このページでは、弊社製品で主に使われているマグネトロンスパッタの原理と、そのほかの代表的なスパッタ法について簡単に解説をしております。

マグネトロンスパッタの原理

粒子を飛び散らせるスパッタ技術はいくつかありますが、弊社のスパッタ装置では最もスパッタ効率の良いマグネトロンスパッタ技術を応用しております。

その原理は、まず真空中でプラズマを生成します。
プラズマは、プラスの電荷を持つガスイオン原子(陽イオン)と、マイナスの電荷を持つ自由電子が自由に飛び回り、不安定になっている状態です。ターゲットの裏側に配置した磁石の力によって、磁場の中に高密度に捉えられます。この磁場の中で動き回っている陽イオンは、マイナス電位となるターゲット表面に次々と衝突します。

それによって弾き飛ばされた(スパッタされた)ターゲット金属の粒子は試料に向かって飛んでいくことになります。
つまり、磁石の力を借りることにより、少ない電力で効率よくプラズマを生成し、陽イオンが磁界の強いところに集まって衝突を繰り返すことにより、スパッタ効率の良い成膜方法となるのです。

マグネトロンスパッタ法の特長

  • 高密度プラズマ領域が試料台と離れているため、試料ダメージが少ない
  • 成膜レートが高い
  • ターゲットの利用効率は悪い。プラズマ密度の高いところから消耗が多い
  • ターゲットは導電性のある金属や合金に限られる

マグネトロンスパッタ装置の構成図

2極スパッタ法とは

DCスパッタの原型とされ、並行平板型ともいわれる。ターゲットをマイナス、試料側をプラス電極として電圧を加え、プラズマを生成してターゲットから金属粒子を叩き出す。

構造は簡単であるが、プラズマを生成するために多くのガスと電圧を必要とし、その結果導入ガスに邪魔をされて成膜効率が悪くなる。また、試料側にはマイナスを帯びた電子が流れ込むため高温となり、試料ダメージが大きくなるというデメリットがある。

2極スパッタ法の特長

  • 構造が簡単
  • プラズマを起こすために大きなエネルギーが必要
  • 負イオンがプラス電極に流れ込むため試料ダメージが大きい
  • ターゲットは導電性のある金属や合金に限られる

RF(高周波)スパッタ法とは

絶縁物をスパッタすることが可能です。
高周波電源からマッチングボックス(整合器)を経由して電極にパワーが供給されます。プラズマが生成されると陽イオンとマイナスイオンは高周波に振られてターゲット側、試料側に流れます。導電性面積の広い試料側にマイナスイオンが流れやすく、その結果試料側がプラス極になり絶縁ターゲット側がマイナスにバイアスされます。マイナスにバイアスされたターゲットに向かって、陽イオンが衝突し絶縁物がスパッタされます。

RFスパッタ法の特長

  • 絶縁物のスパッタが可能である。
  • DCスパッタに比べ、レートが低く試料へのダメージも大きい。
  • 高周波電源は価格が高く複雑であり、工業用に割り当てられた周波数(13.56MHz)が通常使われる。
  • 無電極誘導放電も可能である。

RF(高周波)スパッタ装置の構成図

RFスパッタに関する内容は、こちらの記事をご参照ください。

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